基本法施行後、「アルコール健康障害対策推進関係者会議」が内閣府に設置されました。2014年10月から2016年2月までに、17人の委員が8関係府省庁とともに、計26回の討議(本会議14回、3つのワーキンググループが各4回)を行ないました。こうしてまとまった「アルコール健康障害対策推進基本計画」は、2016年5月31日、閣議決定となりました。
基本計画をキーワードで検索すると、「連携」が63回も出てきます。省庁間の連携、一般医療と専門医療の連携、地域での多機関連携……「連携」を重視した計画であることがわかります。
内閣府は2016年9月30日、基本計画を解説した「アルコール健康障害対策推進ガイドブック」を発行しました。
「アルコール健康障害対策推進基本計画」策定後3年以内に、「アルコール健康障害対策基本法」の事務局を厚生労働省に移管することは、法律制定時にすでに附則に書き込まれていました。
内閣府と厚労省との話し合いにより、その時期が急きょ、2017年4月1日となりました。
折しもIR推進法成立を受けて、2016年12月、厚労省は大臣を本部長にした「依存症対策推進本部」を立ち上げました。本部は「アルコール健康障害対策推進チーム」「ギャンブル依存症対策推進チーム」「薬物依存症対策推進チーム」で構成されています。
内閣府(共生社会)から厚労省(障害保健福祉部)に移管した基本法の事務局「アルコール健康障害対策推進室」は、この「アルコール健康障害対策推進チーム」の事務局も兼ねています。
関係省庁との連絡調整のために、「内閣府、法務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、警察庁その他の関係行政機関の職員をもって構成する」と基本法で定められている「アルコール健康障害対策推進会議」も厚労省に移管。これは局長級の会議で、その補佐をするため、課長級職員による「幹事会」も置かれました。
2期に入ったばかりの「アルコール健康障害対策関係者会議」も、厚労省に移管しました。1期の委員にとっては基本計画の策定が大きな仕事でしたが、2期は事務局移管と基本計画の進捗を見守り、必要があれば見直しを具申することが役割となります。任期は2017年3月からの2年です。
また、基本法に努力義務が定められている「都道府県アルコール健康障害対策推進計画」は、基本計画に「全都道府県において策定されることを目標とし、その策定を促す」と明記されました。策定の状況(予定)については、こちらをご覧ください。
11月10~16日に定められている「アルコール関連問題啓発週間」は、厚労省を中心に関係省庁の協力で実施されます。「啓発週間にふさわしい事業」を実施する努力義務が、都道府県にも課せられています。
厚労省のアルコール健康障害対策のホームページはこちらをご覧ください。
2019年10月30日の第19回関係者会議から2020年12月24日の第27回関係者会議まで、19人の委員が9回の討議を重ねて、第2期「アルコール健康障害対策推進基本計画」がまとまり、2021年3月26日に閣議決定されました。
第2期基本計画は、第1期で打ち出した連携をさらに具体的に進めるものになっています。
すべての都道府県・政令指定都市で関係者連携会議を「年に複数回実施」することが重点目標に示されました。
早期発見から簡易介入・専門医療・自助グループへとつなげる「SBIRTS」という言葉も入り、地域連携のためのガイドライン、医療連携のためのガイドライン、治療ガイドライン、治療マニュアルなどの作成も示されています。
また、アルコール依存症者の大半が内科等を受診しているにもかかわらず診断・治療につながらない「治療ギャップ」を解消するため、多くの委員が、介入に対する診療報酬の必要性を訴えました。最後の最後に、「適切な診療報酬のあり方の検討に資するように、そのコストと有用性に係る知見の集積を進める」という文言が入ったのは大きな布石です。
予防では、一時多量飲酒という言葉が初めて入り、習慣飲酒でなくても酩酊が関連問題の発生に関与することが示されました。
アルコール濃度が高いストロング系問題にも言及し、「飲酒ガイドライン」と連動して、酒類業界が容器への重量表示を速やかに検討することになりました。